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企業法務コラム

パワハラ防止対策!中小企業の3つ対策義務とは?

パワハラ防止対策!中小企業の3つ対策義務

厚生労働省の「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」によれば31.4%の労働者が過去3年間にパワハラを受けたと感じています。パワハラが横行する職場においては、メンタルヘルス不調者が増加し、職場環境の悪化や生産性の低下、休職や退職が増加します。このような状況に陥らないため、事業主にパワハラ防止措置が義務付けられました。2022年4月からは中小企業も義務化の対象です。
パワハラ防止対策を講じていない事業主は指導や勧告の対象となり、勧告に従わない場合には、公表の対象になります。
また、パワハラの結果労働者がうつ病等に罹患し就業が困難になれば、事業者は使用者責任として1000万円以上の賠償を請求されることもあります。
企業の健全な発展のためにも、事業主として求められているパワハラ防止措置の内容を理解し、実施しなければなりません。
パワハラ防止規程の策定等、損害賠償請求対応、労災対応、パワハラ防止研修は、大阪バディ法律事務所までご相談ください。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤井 啓太(ふじい けいた)

大阪バディ法律事務所 代表弁護士

滋賀県出身。2011年大阪弁護士会登録(会員番号45670)。中小企業法務に注力し紛争法務を得意とする。高齢者福祉分野にて行政から委嘱を受け人権擁護活動にも精力的に活動中。

今すぐ「パワハラ対策・トラブル」の相談をご希望される方は「大阪バディ法律事務所」までお問い合わせください。
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1 事業主のパワハラ防止対策義務の内容

パワハラ対策3つの義務
労働施策総合推進法では、パワーハラスメントが定義されています。
①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動で
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③その雇用する労働者の就業環境が害されること
パワーハラスメントとされています。

そして、事業者は、パワーハラスメントに関する「労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とされています。
この「必要な措置」というのは事業者に義務付けられたパワハラ防止措置となります。

では、必要な措置とはどのようなものでしょうか?
必要な措置の内容について、厚生労働省において「指針」が示されています。

①事業主の方針の明確化と周知
②相談体制の整備
③パワハラが起きた際の迅速かつ適切な対応

が事業者の取るべき「必要な」措置の内容であると定めています。

2 事業主の方針の明確化と周知

事業主の方針の明確化と周知

(1) 事業主の方針の明確化

ⅰ パワハラに当たる言動の例示

まずは、どのような言動がパワハラに当たるのかという点を明確にしなければなりません。
何がパワハラに当たるかはケースバイケースで判断されることになりますが、例示として、身体的暴行や侮辱、人格否定は当然のこと、無視や仲間外し、業務上明らかに不要なことや無理難題を強制すること、合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることが挙げられています。このような例示を企業の具体的な職務と関連づけ、職場内にて想定しうるパワハラを例示することが事業者の方針を明確化する上での前提となります。

ⅱ パワハラを禁止し、違反に対して厳正に対処する方針の策定

事業者として、パワハラを禁止し、厳正に対処する方針を策定することになります。
厳正に対処するという意味は、パワハラに対しては懲戒処分や配置転換等を行うという意味です。パワハラを放置しないというメッセージを労働者に明確に伝えるべきです。

(2) 労働者への周知

事業主のパワハラに対する方針が労働者に伝わらなければ、パワハラを防止することはできません。
形式的に就業規則やパワハラ防止規程を策定するだけではなく、労働者に手渡し説明することや社内掲示板で掲示すること、研修をすることによって労働者に内容を理解いただくことが重要です。

弁護士 藤井

就業規則やパワハラ防止規程で定めなければ、懲戒処分を行うことはできません。そのため、まずは就業規則やパワハラ防止規程の策定をすることが必須です。また、就業規則やパワハラ防止規程は掲示や手渡しするなど労働者に周知しなければ効力を生じません。周知するだけではなく、労働者へ研修をするなどして内容の理解を求めましょう。

3 相談体制の整備

相談体制の整備

(1) 相談窓口や相談担当者の決定

パワハラに関する情報を迅速にキャッチするためにも、パワハラの相談窓口や相談担当者を決めることが必要になります。
そして、パワハラに関する事実調査をする必要もあり、また懲戒処分を行う可能性もありますので、相談窓口や担当者は、人事担当者を兼ねることが望ましいと考えます。
中小企業では、所属人数が少ないことからパワハラ行為者と相談窓口が一致してしまう可能性もあります。そこで、2名以上の相談担当者を検討したり、相談窓口を外部委託することも検討しなければなりません。

(2) 相談対応への理解

パワハラは「優越的な関係を背景とした言動」と定義されているとおり、社長や上司から行われることが多いものです。そのため、パワハラを受けた労働者は、相談内容が本人に漏れることや相談によって退職に追い込まれるなど不利益な扱いを受けるのではないかと不安に感じています。
パワハラを受けた労働者を守るために、プライバシーを保護すべきことは当然のことであり、また、労働施策総合推進法ではパワハラの相談をしたことに対して不利益な取り扱いを行うことを禁止しています。
相談窓口や相談担当者には、プライバシー情報を漏らさないことや労働者が不利益な状況に追い込まれないよう配慮することが求められていますので、相談対応マニュアルを作成することや研修を行うことが必要です。

弁護士 藤井

相談窓口や相談担当者は将来的に変更される可能性がありますが、就業規則やパワハラ防止規程の変更には労力を要します。そこで、相談窓口や相談担当者は、社内掲示物や社内報など労働者が簡単に知ることができる他の方法によって周知すべきです。また、パワハラ相談によって不利益な取り扱いがされないことや、プライバシー情報を守ることも、同様の方法によって、労働者に周知しておくことが必要です。顧問弁護士事務所を相談窓口とすることも可能です。

4 パワハラが起きた際の迅速かつ適切な対応

パワハラが起きた際の迅速な対応

(1) 事実確認・調査

パワハラの相談を受けた後、まずは事実関係の確認・調査をすることになります。
パワハラの当事者双方から事情を聴取することが通常です。
しかし、厚生労働省の「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」によれば、パワハラのうち74.5%が精神的な攻撃であるとされており、事業主の65.5%がハラスメントかどうかの判断が難しいと回答しています。
このようにパワハラに当たるか否かの判断は難しいものであることを前提に、事実確認は丁寧に行わなければなりません。当事者からの事情聴取のみによっては、事実関係を判断できない場合には、他の労働者の事情聴取もしなければなりません。事実関係の判断の結果の如何によって当事者への対応方法も変わってくることになりますので、弁護士等外部の専門家に相談することも重要です。

(2) 当事者への対応

パワハラの事実が確認できた場合には、パワハラが現に発生しており今後も継続される可能性があることを念頭に当事者の対応をしなければなりません。
被害に遭った労働者に対しては、部署変更など配置転換、メンタルヘルスの相談対応等です。
パワハラ加害の労働者に対しては、当事者の関係改善に向けて話し合いの場を持つなどの援助、謝罪の調整、配置転換、懲戒処分等です。
どちらか一方だけの対応では不十分であり当事者双方への対応が必要です。

弁護士 藤井

パワハラがあったとは判断できない場合にはパワハラを理由として懲戒処分することはできません。懲戒処分を下しても法的には無効になる可能性があります。しかし、当事者間で紛争があったこと自体は事実ですので、当事者間の関係調整など何らかの対応を事業者として行うことは必要であり、放置することはできません。

5 パワハラ対策・トラブル解決の無料相談は大阪バディ法律事務所に

パワハラだけではなく、セクシャルハラスメントの場合にも事業者は同様の義務を負っています。
そしてハラスメント対策は職場環境を守り、企業の健全な発展のために不可欠のものになっています。

事前対策として
就業規則やパワハラ防止規程を策定し、労働者に周知すること。
社内掲示板や研修を通じて、パワハラの内容や相談体制について労働者の理解を深めること。

事後対策として
パワハラの事実関係判断を相談できる外部の専門機関との連携
労働者からの損害賠償請求、労災申請に適切に対応すること
が重要です。

パワハラ防止規程の策定、パワハラ防止研修、損害賠償請求対応、労災対応は、「大阪バディ法律事務所」までご相談ください。
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