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企業法務コラム

労働審判を訴えられた時の対応方法とは?

労働審判を訴えられた時の対応方法とは?

労働審判とは裁判所において裁判官・労働審判員関与のもと労働紛争を審理し雇用主と労働者との話し合いを行う手続のことをいいます。
事前に雇用主と労働者間で話し合いが行われたものの話し合いで解決できない場合に労働者から労働審判を申立てられることが多いです。労働審判では裁判官・労働審判員が関与することによって正式な裁判になった際の見通しをもって話し合いを進めることができる点に大きな意味があります。労働審判員は労働紛争に知見にある専門家が選ばれています。

労働審判において和解が成立しない場合には「審判」という形で裁判所から一定の結論が出されることになりますが、雇用主又は労働者のいずれか一方が不服を述べると正式な裁判に移行することになります。
そのため労働審判はお互い譲歩の上で話し合いによる解決が可能な場合に選択される手続であり、話し合いの余地がないのであれば、労働審判を選択せず正式な裁判を選択することになります。

しかし話し合いであるからといって安心してはいけません。
労働審判は限られた短い期間で審理され、雇用主側に不利な圧力がかけられることもあるからです。
限られた期間内に事実関係を整理し会社の主張を根拠づける証拠を提出しなければなりませんし、裁判所から提示された解決案が妥当なものか判断するためには法的な知識が必要です。
労働審判を申立された時は必ず弁護士に相談することをお勧めします。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤井 啓太(ふじい けいた)

大阪バディ法律事務所 代表弁護士

滋賀県出身。2011年大阪弁護士会登録(会員番号45670)。中小企業法務に注力し紛争法務を得意とする。高齢者福祉分野にて行政から委嘱を受け人権擁護活動にも精力的に活動中。

今すぐ「労働審判対応」の相談をご希望される方は「大阪バディ法律事務所」までお問い合わせください。
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1 労働審判対応の3つのポイント

労働審判対応の3つのポイント
労働審判の対応において押さえておきたい3つのポイントをご説明します。

(1)呼出期日に関係者の日程調整
(2)指定された期限までに答弁書の提出
(3)訴訟リスクを検討の上和解の是非を検討

です。

(1) 呼出期日に関係者の日程調整

裁判所から郵送されてきた書類の中には、労働審判申立書の写しの他に労働審判の日程が記載された書類があります。
労働審判の日程は労働者と裁判所の都合で決められた日程となり、会社側にとっては都合の悪い日程である場合があります。
しかし労働審判の日程は原則として変更ができません。
そのため会社側は決められた日程に合わせて予定を調整しなければなりません。

では、会社側としては誰の出席を予定しておくべきでしょうか。
まずは労働審判申立書に記載がある労働紛争につき内容や経過を熟知している方の出席は必須です。なぜなら労働審判の当日は裁判官や労働審判員から事案に関する質問があり、質問に対して的確に答える必要があるからです。もし、事案の内容を把握している関係者の出席ができなければ、回答する機会を放棄したとみなされます。
他にも決裁権限者が同席することも望ましいとされています。なぜなら裁判所が提示する解決案に対して落としどころを見据えた上で回答できなければ円滑に手続が進まないからです。ただし事前に会社側の譲歩案を検討しておくことや携帯電話等で決裁権限者と迅速に連絡を取ることができるように準備しておく方法でも構いません。

(2) 指定された期限までに答弁書の提出

労働審判の日程の約1週間前には会社側の反論や法的な主張を述べた答弁書や主張を裏付ける証拠を提出しなければなりません。
労働審判の手続の多くは2~3か月程度の間に裁判所にて労働審判期日が2回~3回開催されることになりますが、実質的な審理が行われるのは1回目のみになることが多いです。
そのため、1回目の労働審判期日において会社側の主張を余すことなく述べなければならず、事前に提出する答弁書の記載を充実させておくことが必須です。
当日裁判官や労働審判員から質問があり、質問に対して回答する機会はあるとはいうものの、事前に提出した答弁書の内容に沿って質問がなされることになりますので、答弁書の準備が最重要といっても過言ではありません。

(3) 訴訟リスクを検討の上和解の是非を検討

労働審判は会社と労働者が互いに譲歩して解決することを目的とした手続です。話し合いが決裂した場合には正式な訴訟に移行することになります。
そのため、裁判所から提示された解決案を受諾するか否かは正式な訴訟になった場合の結論を踏まえて検討しなければなりません。
訴訟となった場合には1年程度の期間や労力、費用が発生することになります。これらのコストを考慮し、訴訟の結果の見通しを立てた上で解決案を検討するためには、法的な知見が必要となります。

2 労働審判の手続の流れ

労働審判手続の流れ

(1) 労働審判の申立

労働者が裁判所に労働審判申立書を提出するところから労働審判の手続が始まります。
いきなり労働審判が申立てられることは少なく事前に雇用主と労働者との間で何からの話し合いがされていることがほとんどです。

話し合いで結論がでなかった場合に、労働者が正式裁判(訴訟)か労働審判のいずれかを選択することになります。

(2) 裁判所への呼出し

裁判所と労働者が労働審判期日の日程を事前に調整した上で、労働審判の日程が決まります。通常は労働審判の申立てをしてから、1か月~2か月程度後に1回目の労働審判期日が設定されることになります。
そして裁判所から会社に対し労働審判申立書と呼出状等の書類が郵送されます。会社側からすると、一方的に日程が決められたことになりますが、原則は日程の変更は不可です。

弁護士 藤井

裁判所から郵送された書類を受け取った時点で初めて会社が労働審判が申立てられた事実を知ることも多いです。また労働審判期日までの指定された期限までに会社の反論を記載した答弁書の提出が必要になりますので、この時点で弁護士に相談される方が多いです。

(3) 裁判所での話し合い

平日に2時間~3時間程度裁判所で話し合いの場が持たれることになります。午前10時若しくは午後1時30分が開始時間となることが多いです。

①出席者

①裁判所側は裁判官・労働審判員2名の合計3名が立ち会うことになります。労働審判員は、使用者側・労働者側の実務経験がある民間の方から選ばれています。
②労働者側は労働者本人と代理人弁護士が出席することになります。
③会社側は事案の内容を把握している関係者・決裁権限者と代理人弁護士が出席することになります。

②進行

①裁判所側から申立書と答弁書の記載に基づき事件の経緯等事実関係について会社側と労働者側に質問がなされ事案の審理がされます。
②裁判所側から確認した事実関係に基づき一定の法的見解が示されることになります。
③裁判所側から法的見解に基づく解決案が提示されます。
④解決案に対して受諾の回答や対案の提示が当日できない場合には2回目の労働審判の日程までに検討の上回答を準備することになります。

弁護士 藤井

事件関係者への質問の返答は証拠として扱われますので事前に検討が必要です。また回目以降の日程は会社側の都合と調整しながら1か月程度後に設定されることになります

(4) 2回目以降の労働審判期日

裁判所から提示された解決案につき会社側と労働者側から受諾の意向の有無を伝えたり対案を伝えることになります。
そして再度持ち帰って検討が必要な場合には3回目の労働審判の日程が設定されることになります。
他方2回目の労働審判の日程で一定の結論に至ることもあります。結論は次の3つのパータンがあります。

①和解の成立

裁判所の解決案を受諾する等して会社側と労働者側が話し合いによって和解するパターンです。和解が成立する場合には裁判所が和解調書という和解の内容を記載した正式な書類を作成することになります。和解調書は裁判所が作成する書類となりますので訴訟を経た判決と同一の効力があります。つまり和解内容に違反した場合差押え等強制執行の受けることになります。

②審判

和解が成立しない場合には裁判所が審判という方法で裁判所の最終見解を示すことになります。審判は会社側か労働者のいずれか一方から異議が出されれば効力を失い正式な訴訟に移行することになります。他方2週間以内に異議が出されなければ審判の内容が確定します。つまり和解調書と同様に内容に違反した場合強制執行を受けることになります。統計上審判の60%程度は異議が出されているようです。

③24条終了

労働審判法24条には「事案の性質に照らし労働審判手続を行うことが紛争の迅速かつ適正な解決のために適当でないと認めるときは労働審判事件を終了させることができる。」と定められています。事案の内容や法的な解釈が複雑であるため労働審判手続という簡易な手続では裁判所としての審判を出すことができないと判断した場合には審判という最終的な見解を示さずに労働審判手続が終了することになります。24条終了の場合には正式な訴訟に移行することになります。

弁護士 藤井

代理人がいる場合には期日間で対案を出し合ったり、和解内容を調整したり等期日までに準備を充実させることになります。

3 労働審判対応の具体例

(1) 事前のご相談予約

社長
社 長
勤務態度が悪く解雇した従業員から不当解雇だとする労働審判を申立てられた。3週間以内に答弁書を出せだって!?対応方法について弁護士に相談しよう。
弁護士 藤井

大阪バディ法律事務所弁護士です。不当解雇のご相談ですね。無料相談を実施していますので、申立書や解雇に関する資料をご持参いただき、ご相談にお越しください。また、解雇の経緯をよく知っている方がいらっしゃれば、担当者の方の同行もお願いします。

(2) 法律事務所でのご相談

社長
社 長
申立書に記載されている経緯は労働者に都合よく書かれています。実際には労働者の勤務態度は非常に悪くクレームも多くありました。しっかり反論したいです!
弁護士 藤井

いきなり解雇したのですか?勤務態度を注意したり改善を求めましたか?

社長
社 長
何度も注意したにもかかわらず一切の反省がありませんでしたので止む無く解雇にしました。
弁護士 藤井

そのような事情も重要です。事実の経緯と証拠をしっかりと整理して答弁書を作成しましょう。

(3) 労働審判期日での対応

裁判官
裁判官

事前に申立書と答弁書の内容を拝見しています。何度も注意されているようですが、態度を改めなかったというのは事実ですか?

労働者
労働者

、、、、、

会社担当者

事実です。証拠として提出しているとおり私が毎週のように指導していましたがそれに対して改善方法を考えることもせず態度を改めることはなかったです。

裁判官
裁判官
仮に訴訟になった場合には1年程期間が必要になり、もし解雇が無効であると判断されると1年分の給料を払わないといけないことになります。会社側として1年分の給料の支払を前提に和解する意向はありますか?
弁護士 藤井

今回の事案では解雇が有効であると判断される可能性は高いです。会社側として労働者に極めて有利な和解内容では和解に応じる意向はありません。

裁判官
裁判官
ではまずは半年程度の給料額相当の解決金を支払うという内容で和解できないか会社側、労働者側で検討いただき次回の話し合いの日に結論を教えてください。

(4) 労働審判期日後の検討

弁護士 藤井

労働審判ではしっかりと会社の主張を述べることができたと思います。そうはいうものの和解が決裂した場合長期間対応に時間が割かれさらに費用も発生することも事実です。和解を希望する場合の解決金の金額について訴訟になった際の見通しも含めて検討していきましょう。

社長
社 長
会社の経営判断として早く紛争を解決することもメリットがあると考えます。

(5) 2回目の労働審判期日での対応

裁判官
裁判官
検討結果を教えてください。
弁護士 藤井

会社側としては、給料の1ヵ月分相当の解決金の支払であれば、和解を希望します。ただし、これ以上の譲歩は考えていません。

労働者
労働者
完全には納得できませんが早期解決の観点から和解にしたいです。
裁判官
裁判官
それでは支払期限や支払先等詳細な事情を確認した上で和解が成立します。和解の内容について記載した書類を後日裁判所から郵送いたします。

4 労働審判の対応の無料相談は「大阪バディ法律事務所」に

労働審判は答弁書の提出期限が短いにもかかわらず適切な準備・対応ができなければ不利な立場になります。
また法的な見解・見通しがないまま労働審判に臨んだとしても妥当な解決を図ることはできません。
労働審判を訴えられた場合は弁護士とともに労働審判対応をすることをお勧めします。

労働審判の対応は「大阪バディ法律事務所」までご相談ください。

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